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山形県で総合診療医を目指しています。日々の振り返りをご笑覧ください。

読書録:地域医療のブレイクスルー

お世話になってる先生が紹介していた本です。
自治医大の大先輩が書かれた地域医療の本というのなら読むべきだろう!と思い、すぐに購入してみました。

 

後半は筆者の取り組んだ小病院立て直しの系図を詳細に記載していました。ここの部分はちょっと割愛しておきます。
(病院リスタートを考える人にとっては刺激になると思います)

 

個人的にビビッと来たのは前半部分。
地域医療とは何か? 総合診療とは? プライマリケアとは?という言葉の定義から始めているところが大変良かった。
以前のエントリーでも「地域医療って言葉は曖昧だよねー」と書いていたのですが、
https://yamagatageneral.hateblo.jp/entry/2021/02/01/163645
なんとなーく考えていたことをクリアカットに定義として記載されてました。
そうか、やはり同じことを考えている人はいるんだなと思いつつ、先人と同じ道を歩いていることに改めて背筋を正されたような気がしました。

 

その定義から、筆者は地域医療の定義をこう紹介しています。
「地域医療とは、地域包括ケアの中で医療を行うこと」
なるほど!と思いましたね。実体験からくり抜くとまさにこの言葉に尽きます。
シンプルかつ妙に言い当てているこの言葉に感動して、研修医にも「地域医療って地域包括ケアの中で医療を行うことなんだぜ!」と興奮しながら話したくらいです。

しかし、その研修医からはあまり反応がよくなかった。多分、「地域包括ケア」と言われてもぴんとこなかったからじゃないかと思い直しました。
自分は曲がりなりにも地域の中に飛び込んで、無手勝流ながら地域医療を実践してきたと思っています。診察室の外に流れる空気や、家庭・集落で生きるということ、医療ー福祉ー介護の連携がどれだけできるのか?などなど。
これを肌で感じているからこそ先程の定義が腑に落ちたのだとすれば、その肌感覚のわからない研修医がポカーンとするのも納得できます。

そういう意味では、この本だけで初学者が地域医療すごい!となるかはわからないのかなと思いました。逆に言えば、ある程度地域医療に触れた人であれば「そうそう!これこれ!」と膝を打つ内容に溢れていました。
興味のある方はぜひお手に取ってみてくださいね。