YAMAGATAxGP

山形県で総合診療医を目指しています。日々の振り返りをご笑覧ください。

仮面ライダーギーツ感想

今年も1年終わりました。9月が1年の変わり目の人はきっと仮面ライダー好きに違いない。
さて、この1年のギーツを振り返っていきます。
グッズなど商業的には良かったと小耳に挟んだので、そこは一安心です。
 

▶︎近年で類を見ない主人公

ともかく最強無敵を貫いた英須。大胆不敵という言葉が似合うヒーローっぷりを1年通して見せつけてくれました。
これだけ最強っ売りを見せつけてくれた主人公はなかなかいなかったんじゃないかな。
(思い出す限りではディケイド・ビルドあたりは近いけど、それぞれ大きな傷を持っていた)
唯一の”マザコン”という欠点も案外さっぱりと解決されてしまったし、本当無敵だったと思います。
仮面ライダー2回目のデスゲームということで、龍騎と区別するためにはここを大きく打ち出したんじゃないかと個人的に思いました。
この無敵っぷりがかっこいいと思う人もいれば、ちょっと共感できないな〜という人もいたでしょう。
今期のグッズ売り上げがよかったのは、もしかして子供にとって無敵な英須がかっこよく見えたのかな?
(変身ポーズがかっこいいし真似しやすいのはよく考えられてた!)
 

▶︎ギーツで描いた「仮面ライダー

最終回で「仮面ライダー」とは何か?というところに言及されていますが、ギーツは「平成〜令和のヒーロー像それぞれ」をライダーたちが体現していたんじゃないかと考えていました。
タイクーンはいわゆる平成あるあるというか、「純粋に正義を信じていた青年→闇堕ち→目覚めて芯が強くなる」ヒーロー。
バッファは「ヴィラン→反転してヒーロー」というアメコミっぽいヒーロー像。
ナーゴは自分の出生に秘密を抱える、1番昭和っぽいヒーロー像。
そして、最強無敵なギーツ。
それぞれのライダーごとに丁寧に描かれていたように感じます(ちょっとタイクーンの闇落ちだけパンチが弱かったんじゃないかと思うけど。バッファとナーゴは良かった)
 
そんな中でケケラは印象深い敵役でした。
「俺の見たい仮面ライダーをデザインする」という願望にひたすら走りまくる、最後までそれを貫いていたキャラでした(演じられた俊藤光利が渋くてマジカッコ良い。アマゾンズからの地上波再登場です。アマゾンズの隊長役されてる時も鬼渋くてかっこいいのでこっちも見てほしい)。
これって「平成〜令和ライダーで勝手に推しまくって好きなこと言ってる視聴者」を強烈に皮肉ってるじゃないかなーと…。
うーむ、ケケラにならないよう気をつけよ。
 

▶︎設定

未来人の娯楽としてのデザイアグランプリ。
願いを叶える力の背景やジャマトという存在について、未来人の設定のあたりは根掘り葉掘りはされずに終わった印象でした。
深堀するならもう少し話数を割かないといけなかったろうしなぁ、そうすると各ライダーの掘り下げが蔑ろになるだろうし。ここら辺のバランス調整は難しかったんじゃないかと勝手に思っています。
毎年思うけど、完全に腑に落ちる設定ってのは描くの難しいですよ。一年かけても色々気になるところが出てくる。ここら辺はそろそろ目を瞑らないと、と思いながらも気になっちゃうんだなー。
いわゆるボス役=ゲームマスターがコロコロ変わることで、戦う相手の一貫性が見えにくくなっているのも引っかかるところでした。各ゲームマスターごとのカラーリングがあってそれがいい!という人もいるんだろうけど、倒すべき相手がぼやけると物語そのものもぼやけるのかなと感じます。
 

▶︎総括

やっぱりギーツの見どころは「複数ライダーがデスゲームに翻弄されながら、ライダーたりうる理由を見つめ直す」ところにあるんだと思います。
後半戦に入ってからここら辺の描写が多くて面白かった!
 
同じデスゲームものである龍騎とは、個人的には全く違う作品と言いたい。
同じ麺類でもうどんとそばくらい違う。龍騎はもっとシビアに「お前を殺す」感があったけど、ギーツではそれが薄いこともありそうです(今の時代に龍騎をやったら間違いなく東映ファンクラブ内公開で終わります)。
令和のデスゲーム、って感じで見てもらえるといいんじゃないかな。
 
ここを入り口にライダーを見るのではなく、ある程度「平成・令和ライダーってこんなのね」と把握してから見てみることをおすすめする作品でした。

論文acceptまで何してたの?

嬉しい報告!
先日、人生初の研究論文が無事にpublishされました。えがったえがった。
 
論文の内容うんぬんよりも「大学院で何してたのよ?」って方を書いておいた方が、未来の進学を迷う人たちに役立ちそうなのでまとめておこうと思います。
 
ちなみにセッティングとしては、博士後期課程(3年間)の現在3年目です。これから最終審査が待っておりますので、まだ道半ばではある。
 

〈1年目〉

入学して早速どんな研究をやるか考えることに。もともと自分のやった活動が本当に役に立ったのかを研究してみたい、というのが動機だったのでその路線で攻めることに。
 
夏くらいには研究計画がまとまり、アンケート作成を行いました。
いやぁWordってすげー手強い!(それまではmacのPagesを使っていたが、互換性の問題からMicrosoftシリーズに乗り換えた)
指導教官のフォローに助けられつつ、なんとか秋にはアンケート調査を行うことができました。
 
印刷代どうするよ?とか、集めたアンケートをデータクリーニングするのどうする?とか、今まで考えたことのないポイントに暴露して「これが研究か…お金と手間暇で出来てるんだな…」と衝撃を受けたのもこのあたりです。
 
アンケートの回収を年明けまでやって、そこからデータ整理をして年度が終わりました。
 

〈2年目〉

さあ解析だ!論文だ!という段階でしたが、ここで自分の基礎知識がないことが露見します。書くにしても基礎知識がないと書けないよね、ってことで、指導教官から短期集中で基礎知識講座を受けることに。
ようやく解析法の整理ができました。
 
夏からいよいよ本格的に論文を書き始めました。
とりあえずintroの第一パラグラフ、2週間後に第二パラと少しずつショートゴールを決めながら進んでいった感じです。
このあたりはdeepL・grammaryが大活躍してくれました。
 
大体形になったのが年末ごろでした。
(論文書くのに半年かかりました)
そこからネイティブチェックを通したり数字のずれの確認などをして、投稿チャレンジしたのが今年の1月でした。
この辺りが結構ジェットコースターのように一気に進んだ感じあります。
 
投稿して1ヶ月後。
二月になって、帰ってきたのがRevision。
Rejectじゃなくてよかった・小指が引っかかってよかったと思いつつも、その膨大な添削量にため息がでました。
丸3日くらい、空いた時間を全て修正作業にブッこんで一気に直したのが忘れられません。
そこから再度指導教官と煮詰めたりして、締切ギリギリの3月に再提出。
「落ちたかなー、次の投稿先どうしようかなー」と悩んで待っていたところ、5月にacceptの連絡が入りました。
 

〈振り返ると〉

思ったより論文を書いていた期間は2年のうち半年強という感じでした。
その間に研究計画を添削されたり基礎固めをしたりと、何かはずっとしていた印象ですが…思ったより一気に書き上がったのかな?という気持ちです。
ここまで頑張れたのはしっかり指導教官が引っ張ってくれたおかげ以外の何者でもありません。
大学院に入らなければ自分は指導を得られる環境にはいけなかったわけで、大学院入ってよかったなぁとしみじみ感じたのでありました。
 
ここからいよいよ卒業に向けて卒論の作成に入ります。しっかり卒業できるように頑張っていきます!

抄読会:看取りの時は腕時計?

今年度から総合診療チームで動くようになりまして、念願の教育カンファレンスを毎週開催できています。
チームメンバーや医学生からいろいろ学ばせてもらうだけでなく、自分も何か発信せねば!と思い、”家庭医療ジャーナルクラブ”と称して総合診療・家庭医療に絡めた論文を月1ペースでまとめるようになりました。
せっかくまとめたので、ブログにも載せておこうと思います。
 
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今回の論文は
Which Physicians' Behaviors on Death Pronouncement Affect Family-Perceived Physician Compassion? A Randomized, Scripted, Video-Vignette Study

この論文を読もうと思ったのは、チームでの雑談がきっかけでした。
看取りの際に死亡時刻を確認するわけですが、さて時間を確認するのは腕時計がいいんでしょうか? PHS? スマホはだめ?
ここら辺を解決する研究があるんじゃないかと思い、緩和ケアの友人に紹介してもらった論文になります。
 
内容を全て説明するとお腹いっぱいになりそうなので、エッセンスだけ紹介したいと思います。
 
・思いやりのある/ない医師を演じた看取りの動画を作成し、それをみてもらってどう感じたかを調査した
・思いやりのある行動をとる医師の方が好ましい印象を持たれた
・思いやりのある行動として
  ①当番医は主治医から申し送りを受けていることを家族に伝える
  ②亡くなった患者に敬意を持って診察する
  ③腕時計で死亡時刻を確認する
  ④患者が苦痛を受けずに亡くなった、と家族に告げて安心させる
 上記4つが推奨される
・病室に到着して家族が落ち着くのを待つのはそこまで重要視されなかった。すぐに診察を始めていいかもしれない。
・あくまで病院の病室でのセッティングなので、在宅や日本以外のセッティングで適応できるかわからない
 
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自分の臨床疑問だった「腕時計がいいの?PHSがいいの?」についてですが、この論文では「腕時計vsスマートフォン」で比較しています。
思いやりのある行動が腕時計、としているのは先行文献を根拠にしているんですが……先行論文を見た限りでも腕時計と思いやりのある行動が間違いないかはっきりわからない感じでした。
かつ、最近はスマートウォッチも普及しており、この論文だけでは腕時計最高!とまで言い切れないのかな〜というのが感想です。
 
とは言っても、PHS以外の選択肢はあった方がいいと思い、やすい懐中時計を買うことにしましたとさ。
 
月1ペースくらいで抄読会の様子もお届けできればと思います!