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山形県で総合診療医を目指しています。日々の振り返りをご笑覧ください。

読書ログ: ウイルス学者さん、うちの国ヤバいので来てください

東京大学 古瀬先生のエッセイ。たまたま彷徨いた図書館で目があってしまったので借りてみたところ、色々味わいどころがある内容だった。
 
・COVID19の捉え方
世の中には数多くの感染症がある。これは自分も知識レベルで知っていた。
しかし、実際にエボラ・ラッサ熱など多くの感染症対策に従事した古瀬先生の記載を読むとCOVID-19は突然降ってきた危機ではあるが、人間が繰り返し対峙している感染症危機の1つに過ぎないという印象を持つようになった。
じゃあ自分は2020−2022年に奮闘していたのはなんだったのか。
おそらく感染症危機は「身に降りかかってくる事態」では無かったから、全く予想外でどう動けばいいかわからなかったから大いにテンパったのだと思う。
そうなると古瀬先生のように場慣れしている人の方がテンパらないし動けるのも納得である。
彼ほどの経験を国内で積むことは難しく、そうなると国内の医療職は次のパンデミックの時にCOVID-19の経験のみで奮闘しなければいけないのだろう。それしかないから仕方ないにしても、もっと上手に危機を乗り越えるための訓練・思考実験がまだまだ必要そうだと感じた。
 
・ほぼ同年代というのにびっくり
「大学時代はバイトにバンドに〜〜〜」なんてくだりがあるが、同じような大学生活を送っていたにもかかわらず、その後半戦の違いにびっくり。
古瀬先生がフィリピンに行って研究活動をやったり学生中にPhDをとったりしている間、自分はますます部活に明け暮れていた。
その背景には所属大学の気風とか制度の違いがある気がして、入った大学でやはり成長や進路の方向は変わるのかもしれないと感じた。自分が母校以外のところに入っていたら、果たして地域医療をやっていただろうか・・・。
 
同世代の活躍、そして若い世代の活躍を見聞きする機会が増えてきた。それをジェラシーなく受け止められるようになったのか、牙が抜けて腑抜けたのかそれとも丸くなったのか。
自分らしく丸く尖り続ける努力はしていきたいなと思った朝でした。