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山形県で総合診療医を目指しています。日々の振り返りをご笑覧ください。

初の医学生実習を終えて

この1ヶ月は思い出に残る日々となりました。
当院は以前から近隣医学部の医学生実習を受け入れていましたが、しばらく内科は休止してた経緯があります。
自分が春に赴任した際に「総合診療の枠で学生実習受け入れる?」と聞かれ「やります!」と二つ返事してからしばらくのこと。
いよいよ総合診療チームで実習受け入れを始めることになりました!
 
これは個人的にすごくインパクトのある出来事でした。
現勤務地には「教育する場を作りたい」というのがそもそものモチベーションだったので、それの第一歩が叶ったわけです。
何を伝えようか、でも話しすぎても困るしな、あーでも歓迎もしたい!どうしよー!…と嬉しい混乱を起こしていたのが先月のことでした。
 
教育計画をいろいろ考えたのですが,どんなニーズがあるかわからないこともあり第一回目は盛り込みすぎないことを念頭に考えました。
・こまめに振り返り
・病院の外を見る機会を作る
・SDH、病院の制度、総合診療医、緩和ケアなど大学で触れにくい部分を丁寧に
ここら辺を意識しながら受け入れに挑みました。
 
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そんなこんなで受け入れて1ヶ月、実習は無事終了しました。
途中で院内の感染対策などでかなりてんてこまいな状況にもなりましたが、1ヶ月の間濃厚に1on1で話をできてよかったなーと思っています。
 
学生から最後にこの1ヶ月の振り返りとして、「総合診療とは何か?」をプレゼンしてくれました。
その言葉の端端には自分が臨床現場で大事にしていることや、自分自身が存在意義だと思っていることが見え隠れしていて、見せたい背中はきちんと提示できたんじゃないかなと安心しています。
一方で、その背中=家庭医療は提示できたものの、病院で総合診療をやる意義とか病院に総合診療がある意味などについてはまだ腑に落ちなかったと正直に教えてくれました。
これは自分自身もまだ答えが出せていない部分であり、自分が腑に落ちていないことは言語化できないし背中は伝わらないということを反芻することができました。
 
「この病院に先生がいる意味はよくわかりました。でも、先生がここにいる意味がちょっとよくわからないんですよね」
と素直に言ってくれた言葉が胸に刺さります。
場を選ばずに働ける自分だからこそ、臨床現場としてここでなければいけない意義は確かにないのかもしれない。
すごくしっくりくる言葉で、唸ってしまいました。
 
臨床現場としてここでなければいけない理由はなくても、教育の土壌を作るという意味ではここに活路を見出しているのも事実です。
こうやって1on1で総合診療の一欠片でも伝えられたこと、そしてここに教育の土壌を作っていけば「自分がここにいる意味」を形作っていけるんじゃないのかなと感じました。
 
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誰かに教えるというのはすごくエネルギーと時間を投資する行為であることを久々に実感しました。
でも、対話を通じて自分を客観的に見直す機会になることや、見られているからこそ常に100%(いや120%?)の診療を見せられるように努力するきっかけになることなど、多くのメリットを感じさせてくれた1ヶ月でもありました。
今回の1ヶ月をベースに、今後の教育計画を改めて練っていこうと思いました。