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山形県で総合診療医を目指しています。日々の振り返りをご笑覧ください。

在宅における腎瘻カテーテル管理

学ばせて頂いたことはきちんとまとめておこう。

在宅において様々な「管」の管理はポイントになるが、腎瘻カテーテル管理は手を出しにくい領域かもしれない。泌尿器科へのアクセスがよければいいけど、うちのような僻地だと受診まで小一時間かかることもザラではない。
在宅の引き出しを増やす意味でも、どうやっていくか知識を整理しておく。

 

①腎瘻カテーテルの解剖学的知識
 腎瘻カテーテルは腎後性腎不全の際に尿流出を確保するために行う処置だ。
 カテーテルの種類はいくつかあるが、基本的には経皮下に腎盂までカテーテルを挿入し、先端を留置してくる。尿管以降は閉塞しているので、腎瘻カテーテルを通って排尿されてくるという仕組み。

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瘻孔はおよそ6時間で閉塞してしまうとのこと。
なので、抜けてしまった時には応急処置をする必要がある。

 

カテーテルの種類
 使いやすいのはバルーンタイプ。バルーンがしぼむことで抜けるリスクはあるが、コシもあって取り扱いやすい。
 ピッグテールカテーテルは抜けにくいが、再挿入時にガイドワイヤーが必要になる。常備できる施設ではありかもしれないが、うちのようにたまにしか対応しない施設だとガイドワイヤーを無くしそう。
 マレコット型という、胃瘻チューブのような傘付きのものもあるみたい。

 ともかく1種類でも触り慣れておくことをお勧めしたい。

 

③交換目安・手順
 基本的には1ヶ月が目安。バルーンタイプはもう少し短く2−3週間(おそらくバルーン内の水の問題)。
 重要なのは「何cmで固定されているか」。増設した泌尿器科からも必ず記載があるはずなので、これを忘れずに。
(浅くてもダメだし、深いと腎臓を突き抜ける可能性がある)
 
 手順はそこまで複雑ではない
1、カテーテルを準備 
 先端バルーンが膨らむか・ピックテール内にワイヤーが通るかきちんと確認する
2、カテーテルを抜去する
 初回の交換時には縫合固定されている人も多いので、抜糸もしつつ交換する。
3、カテーテルを挿入
 瘻孔に沿って、決めた挿入cmを確認しながら入れる。抵抗がないかチェック。
4、バルーン固定(ワイヤー引き抜き)
5、確認
 (1)エコーで確認 在宅エコーができれば、腎盂内に留置されているのを視認できる。こっちのほうが間違いはない。
 (2)腎盂洗浄する 抵抗なく洗浄ができれば使用に問題なしと判断する。

 固定の仕方については参考文献を確認。テープ固定はしっかり目になるので、スキンケアも気を付ける。

 

私見
 ぶっちゃけ、交換だけなら何回か見学or1回の指導で行うことは可能だと思う。
 トラブルシューティングが肝だが、解剖学的な問題・カテーテル自体の問題・患者の全身状態を把握できればそこまで難しくないと考える。
 あとはカテーテルをどの保険で誰が準備するのか・緊急対応を誰がするのか次第で、この知識を自分で実践するのか家族やスタッフに指示するのか変わってくる。
 ざっと知識を整理するだけでも心構えが違うので、この記事が参考になればと思う。


 
参考文献
在宅における腎ろう・膀胱ろう管理の手引き:長崎市訪問看護ステーション連絡協議会
http://www.nagasaki-nurse.or.jp/nursenet/reference/jinrouboukourou.pdf