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山形県で総合診療医を目指しています。日々の振り返りをご笑覧ください。

点眼薬の使い分け

プライマリケアの現場で使える武器を増やす意味で、点眼薬についておさらいする。

大まかに分けて下記の種類。
1.緑内障治療点眼剤
2.抗菌・抗ウイルス点眼剤
3.副腎皮質ステロイド性抗炎症点眼剤
(副腎皮質ステロイド・抗菌/抗生物質配合点眼剤を含む)
4.非ステロイド性抗炎症点眼剤
5.ドライアイ・角膜治療点眼剤
6.抗アレルギー点眼剤
7.白内障・眼精疲労 その他の点眼剤
こちらを参照した https://www.gankaikai.or.jp/tsushin/files/20130805_4.pdf

1、緑内障治療点眼剤
 プライマリケアでは緑内障(眼圧の上昇)を疑って速やかに紹介することが重要になる。
 身体所見や目の充血から疑う。
 メミルちゃんも候補。

2、抗菌・抗ウイルス点眼剤
 ①抗菌薬
対象疾患は
細菌性結膜炎 細菌性角膜炎 細菌感染が原因で発症する3型あるいは4型アレルギー性角膜炎、結膜炎
麦粒腫 炎症を伴った霰粒腫 涙囊炎 感染による眼瞼炎など
 眼脂培養をとって、初期治療(クラビットガチフロ・ペストロン)
 種類が限られているので、どうしてもクラビットに頼りがちになりそう。
 漫然と投与しないよう注意する。

 ②抗ウイルス点眼剤
アシクロビル点眼液・軟膏
単純ヘルペスウイルスによる角膜炎に投与する。
ここを診断できるかどうかだが、メミルちゃんに聞くなど専門医へのアクセスの方が重要そうだ。

3、副腎皮質ステロイド
 アレルギー性結膜疾患(花粉症含む)、アトピー性角膜疾患に使用する
 副作用に眼圧上昇・易感染性があり、個人的には眼科が出すべき薬剤と考えている。

4、非ステロイド性抗炎症点眼薬(NSAIDS)
 眼瞼炎、結膜炎、角膜炎などの炎症性眼疾患や白内障などの眼手術における炎症症状に対して使用される
 副作用に角膜びらん・穿孔がある。やっぱりNSAIDSはNSAIDSだった。
 外眼部〜前眼部の炎症性疾患の対症療法
 眼科に行くまでのつなぎとして出すことはアリかも。長期処方しないように気をつける。

5、ドライアイ・角膜治療点眼剤
 ヒアレイン酸、コンドロイチンとか。
 涙不足や外因性の角結膜上皮障害に使用する。
 1日4−6回点眼する必要がある。
 特別な副作用はなく、プライマリケアでも使用しやすい薬剤。

6、抗アレルギー点眼剤
 花粉症時期によく処方する点眼薬。種類も多い。
 肥満細胞膜安定化薬と抗ヒスタミン薬の2種類がある。
 プライマリケアで症状緩和を第一に目指すなら、抗ヒスタミン薬を使えるようにしておく。
(パタノール・リボスチン・ザジテン・アレジオン)
 
7、白内障・眼精疲労 その他の点眼剤
 ビタミンB12点眼薬を使用するかどうかだが、プライマリケアで使用する必要は個人的にはあまりないと思う。眼科からの継続処方を依頼された時に出すくらいか。

 

こうして見直してみると、非専門医であるプライマリケアで戦える疾患自体が限られていることがわかる。

一方、眼科医は地域で不足傾向にあり、適切な紹介をどのラインでするかはしっかり勉強しないといけない。

日々勉強あるのみ。