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山形県で総合診療医を目指しています。日々の振り返りをご笑覧ください。

薬剤性の脂質異常症

生活習慣病として名高い脂質異常症
外来でもちょっとふくよかな皆様と日々コレステロールの話をしております。
そんな中、痩せ型で「あれーこの体型で脂質が高くなるかな?」なんて経験をされたことありませんか?

 

脂質異常症の原因をもう一回整理します。

一次性:
 いわゆる遺伝疾患、家族性高コレステロール血症というやつですね。
 稀な遺伝疾患も多数上がりますが、基本は家族性なので周辺の状況をしっかり聞き出しましょう。

二次性:
 僕らが外来でよく遭遇するのが、生活習慣に伴う脂質異常です。
 運動量が少ない・脂肪分の食事が多い・オーバーカロリー・アルコールetc。
 じゃあ生活習慣以外の原因は何があるでしょう?

 

 疾患としては、糖尿病・慢性腎臓病・甲状腺機能低下症・原発性胆汁性肝硬変およびその他の肝胆道系疾患が挙げられます。
 そして、忘れちゃいけないのが薬剤性!
 サイアザイド系利尿薬,β遮断薬,レチノイド,高活性抗レトロウイルス薬,シクロスポリン,タクロリムス,エストロゲン,プロゲスチン,およびグルココルチコイドが挙げられます。

 

 個人的に見落としていたのが、このエストロゲン関係です。
 骨粗しょう症の治療薬であるラロキシフェンは女性ホルモンの代わりとして働くホルモン剤です。
 女性ホルモンを補う形で骨密度の低下を防ぐ作用があります。
 女性ホルモン(エストロゲン)補充で中性脂肪上昇をきたす場合があり、ラロキシフェンでも同様の副作用が発現する可能性があるわけです。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00065910

 調べて分かったのが、利尿薬・β遮断薬ですね。心不全関係で出されやすい薬なので、長期投与の際にはやはり気をつけないといけないでしょう。
 飲んでいるから必ず上がるわけじゃないのが悩ましいところですが……。

 

 落ち着いている方で脂質異常が見つかった時、もちろん生活習慣を確認することは必要です。
 ライフイベントの変化が食生活や活動量に影響している場合もあります。
 しかし、それ以外にも腎機能や甲状腺機能に加え、何を飲んでいるか改めて確認する必要がありそうです。
 脂質異常症も奥が深い。