年3回行っている地域のポリファーマシー勉強会、今回はパーキンソン病をテーマにしました。
パーキンソン病は神経難病の中でも地域で遭遇確率の高い疾患です。
かつ、山形県においては神経内科が少ないため、専門家ではなくプライマリケアで対応すべき疾患でもあります。
神経内科の先生に抗パーキンソン病薬について話をしてもらいました。
COMT阻害薬やMAOーB阻害薬など新規製剤が増えてきている領域をざっくり解説してくれました。
使い分けってなかなか難しいですよね。
忘れちゃいけないポイントとしては、新規製剤は薬価が高いので特定疾患の申請を進めることです。
条件としては
ホーン・ヤール重症度分類Ⅲ度以上で生活機能障害度Ⅱ度以上の方。
軽症者(医療費助成の要件を満たさない場合)であっても、1か月の医療費総額が高額※である場合、医療費補助の対象(軽症高額該当)。
※1か月の医療費総額が33,330円を超える月が、年間3回以上ある場合。
パーキンソン病に使っている薬剤次第では、十分条件は満たすことを覚えておく必要がありそうです。
レクチャーの後は症例ディスカッションです。
パーキンソン病で実際にポリファーマシーが起きている患者にどう介入していくか2例検討しました。
自分の担当した事例では、運動障害ではなく非運動障害がQOL低下に陥っていた方を取り上げました。
パーキンソン病といえば4大症状に代表される特徴的な運動障害が頭に上がりやすいですが、非運動障害の多様さもまた悩ましいところです。
・睡眠障害:覚醒障害、夜間の睡眠障害
過眠、不眠、ムズムズ脚症候群、レム睡眠行動障害etc
・精神・認知・行動障害
うつ、幻視、不安神経症、認知症etc
・自律神経障害
低血圧、頻尿、便秘、嚥下障害、発汗過多
・感覚障害
嗅覚障害、疼痛、視覚異常
これまた悩ましいのが、こういった非運動障害は抗パーキンソン病薬で治療できるわけではありません。
それぞれ症状に対して適宜対応が求められます。
便秘にあれをだして、過活動膀胱にこれをだして……あっという間にポリファーマシーの出来上がりです。
もちろん、大事なのはポリファーマシーを解決することではありません。
患者さんとその家族が、自身の病気を受け入れながらうまく付き合っていくことです。そのためには許容すべきポリファーマシー(Appropriate polypharmacy)もあると自分は考えます。
地域にパーキンソニズムの方はいませんでしょうか?
プライマリケアで対応できる裾野が広がることで、困っている患者さんが減ることを願って止みません。