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山形県で総合診療医を目指しています。日々の振り返りをご笑覧ください。

緩和学会 第18回教育セミナー報告

博多でセミナーに参加してきました。

緩和医療学会の主催する教育セミナーは毎年春・冬の2回開催されています。

春は学会の前日、冬は地方という流れのようです。

春のセミナーは平日開催で参加が厳しいので、冬に参加することになりました。

この教育セミナーの意味は、

・4回通して受けると専門医として一通りのアップデートができる

・症状緩和だけでない広い領域を扱うことで、幅広い分野が求められる緩和ケアのボトムアップができる

・オンラインではないLIVE感を楽しんで欲しい

ということだそうです。

実際、この解説通り7セクションは幅広かった。印象に残ったところだけ記載していきます。

・鎮痛補助薬について

アセトアミノフェン高容量でも消化管出血を起こしうる。

市販薬にも混ざっているため、気づかないうちに高容量になっている時もある。

発達障害について 

ASDADHDについてポイントを整理できた。

こちらが伝わらないと思っている時は、あちらもよくわからないと思っている。

患者に起こっていることを想像し、患者の特性からケアを創造する。

・終末期の栄養管理

NSTやってると聞き覚えのある内容が多かった。

がん患者でも低栄養が多く、適切に介入することで餓死を防げる。

・被災地におけるがん患者への医療提供

西日本豪雨に関連して災害支援の話。

総合診療で同じ話を聞いていた。

・脊髄圧迫症候群

適切なタイミングで外科的治療を行うと、健康寿命を維持することができる。

それは原因ががんだったとしても!

条件次第では手術のQALYは高い。

・家族の心理反応とそのケア

喪失loss 悲嘆grief 死別bereavement

日本は悲嘆と死別を混同しがち。

関わる人で悲嘆のあり方が異なる。

・呼吸困難について

ガイドラインの整理と、これからの更新内容の紹介。

ベンゾジアゼピン系単剤の呼吸困難緩和は根拠なし!

今後の更新で非がんも含めた内容になっていく。

総合診療で聞き覚えのある内容から目から鱗まで様々でした。

知識のアップデートをまとめて行えるのは貴重な機会でした。

一方で、7つのセクション全てが1方向性の講義形式で、LIVE感はあまりなかったなぁと思ってしまいました。

これからの技術革新でより良くアクセシビリティの高いセミナーになっていくことを願っています。