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山形県で総合診療医を目指しています。日々の振り返りをご笑覧ください。

デュタステリドの副作用

前立腺肥大とは悩ましい病気です。
世の中にはいろんな薬剤がありますが、外来レベルで見かけるものとしてはα遮断薬・PDE5阻害薬、そしてデュタステリド(商品名アボルブ:5α還元酵素阻害薬)です。
テストステロン(男性ホルモン)の濃度を減らして、前立腺を小さくさせるのが効果です。
ついでに髪の毛が濃くなったりするので皮膚科でも使用されてますよね。
外来でも継続処方している人がいるので、気をつけないといけないことを整理してみます。
 
・効果の発現時期
ホルモンに働き前立腺の大きさを小さくすることで症状を改善させる薬です。
そのため、前立腺が小さくなるまでは効果が出にくいことを説明しておく必要があります。
6−12ヶ月かかるので、その間どうするか(他の薬剤を足すのか非薬物療法で粘るのか)も検討しておきましょう
 
・PSAについて
前立腺がんがあったとしてもPSAを抑え込んでしまうことが指摘されています。
PSAは半分以下になってしまうので、内服中は測定値を倍にして考えるべきと書いてあります。
ただでさえスクリーニングの悩ましい前立腺がんをマスクしてしまうのは困った問題です。
一方、内服して半年たってもPSAが下がらないときにはマスクしきれない癌がいる可能性があります。
内服中に増加してきている場合にはたとえカットオフ値(4.0ng/ml)以下でも癌を想定する必要もあります。
 
・抗男性ホルモン作用
ED(勃起障害)はよく言われますが、リピドー減衰もあるみたいです。
最近メンズ・ヘルスもニュースにあがるようになりました。投与する年齢には気を配りたいところですね。
 
・副作用
その他、肝障害が起きる可能性が指摘されています。これは念頭になかった。
 
自分の臨床現場に戻してみると、
 高齢者のコントロールには時間がかかるのでそれぞれの状態にあわせて処方を検討する
 内服中は前立腺がんのスクリーニングについて気を配る
 男性機能低下だけでなく肝障害を起こさないかチェック
ここらへんは今後活かしていけそうなポイントでした。
 
(参考文献)
UpToDate