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山形県で総合診療医を目指しています。日々の振り返りをご笑覧ください。

COVID19日記3:僕らの敵はヒトじゃない、ウイルスだ

村に新型コロナウイルスがやってきて約3週間経過しました。

落ち着く暇もなく、日々対策に追われています。
「自分の勉強でもしてリズムを整えよう!」とか言ってた自分にデコピンしてやりたい。
そんな中でも元気に過ごせているのは、丈夫に育ててくれた両親と支えてくれる家族・スタッフのおかげだと思います。本当にありがとう。

 

村のコロナとの戦いは、次の段階に移行してきている印象です。
すなわち、「感染」との戦いに加えて「不安」と「差別」との戦いです。

連日のニュースに加え、役場での対策も効果があったようで皆コロナを心配しています。
この不安が「ウイルス」ではなく、「ヒト」に向くのではないか懸念しているところです。

 

確かにこのウイルスはヒトと近づくことで感染リスクが上がります。
けど、それは誰かへの差別や批判とは違うはずです。
差別や批判でウイルスがやっつけられるわけではありません。もし自分が感染してしまったら、ブーメランのように自分へ返ってくるおっかないモノです。
情報過多になったり噂話だけが広がったり、その結果ちょっとした言葉で誰かが傷ついてしまう。
そうなって人間が協力できなくなってしまったら、ますますウイルスの一人勝ちです。

 

不安なときや心配なとき、人はどうしても”ハリネズミ”になってしまいます。
目に見えない敵はおっかないし、それなら目に見えるものに当たった方が気は紛れるでしょう。

気持ちはわかります。それだけあなたも辛いんですよね。

でも、この”災害”は誰かが悪いわけじゃないんです。
何が悪いと言うのなら、ウイルスです。突然降ってきた”災害”が悪い。
現場は必死に戦ってます。自分の体調も不安だし、一緒に暮らす家族に移さないか心配だし、得体も知れない不安と闘いながら業務に励んでいます。

 

だから、”ハリネズミ”になりそうな時には是非立ち止まっていただきたい。
不安は私たちから「誰かを思う気持ち」や「自分を冷静に見直すこと」を奪います。
今必要なのは誰かを攻撃することじゃなく、不安を分かち合うことです。
石を投げるんじゃなく、優しい言葉を投げ合いましょうよ。

 

こんなことを書きながら自分だって十分に余裕があるわけじゃありません。
でも、最前線で戦っているつもりだからこそ、明日もできるだけ笑顔で「ありがとう」「お疲れ様」と伝えたいと思っています。

 

新型コロナウイルスは未知の感染症です。
本当に恐ろしいのは、病気をもたらすだけじゃなく私たちに「不安」を与え「差別」させ、社会を分断させようとしていることです。
(多分ウイルスはそこまで考えてないと思うけど)

感染症」「不安」「差別」、この3つと戦う必要があることを是非知ってください。
そして、互いにねぎらい敬意を払うことがこの戦いに最も重要であることを覚えていてください。


まとまっている資料はこちら
http://www.jrc.or.jp/activity/saigai/news/200326_006124.html