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山形県で総合診療医を目指しています。日々の振り返りをご笑覧ください。

できるだけわかりやすく新型コロナウイルスの検査を説明してみる

新型コロナウイルスが流行し始め丸1年。検査についても当たり前にニュースで出たりドラッグストアでキットも買える時代になりつつあります。

だからこそ、新型コロナウイルスの検査についてどなたでも理解する必要が出てきました。
今回の記事は、できるだけわかりやすく新型コロナウイルスの検査について書いてみたいと思います。

 

0. なんで検査するの?

新型コロナウイルスは「早く見つけて早く隔離」することが大事です。
そのため検査は「ウイルスが身体にいるかどうか」判断するために開発されました。ウイルスに感染している人を早く見つけて早く隔離することで、他の人にうつす確率を下げてウイルスを封じ込めるのが検査する目的です。

「ウイルスがいないことを証明してもらいたい」というお気持ちもよくわかりますが……残念ながら現在の技術では「皆さんの体に間違いなくウイルスはいません!100%安心です!」と言い切ることはできません。

 

1. PCR検査

できるだけ簡単に説明すると、PCR検査は“ウイルスそのもの”を検査します。
身体の中にウイルスが入り込んでいるかどうかわかるのが、PCR検査です。

検査が陽性なら、あなたの身体に新型コロナウイルスがいます。感染者として対応を始めましょう。
しかし陰性だからといって「新型コロナウイルスがいない」とは言い切れません。
うまくウイルスを捕まえられなかったり検査の穴をすり抜けたせいで陰性になる確率が30%あるからです。

 

2. 抗原検査

PCR検査と同じく、”ウイルスそのもの”を検査します。
PCR検査と違うのは、ウイルスの1部分だけ(=ウイルスの抗原)を引っ掛けるところです。検査が早くできる分、PCR検査よりも外れる可能性が高くなります。

この検査でも陽性なら、あなたの身体に新型コロナウイルスがいます。感染者として対応を始めましょう。
PCRよりも外れる可能性が高い検査なので、陰性でも「新型コロナウイルスがいない」とは言い切れません。

 

3. 抗体検査

ウイルスが人間の身体に入り、無事ウイルスがやっつけられたとしましょう。身体はまた同じウイルスがやってきた時のために、戦った相手のデータを体内に残します。これが“抗体”です。
つまり、抗体は身体がウイルスとの戦いの後に残すデータです。
抗体検査では「ウイルスとの戦いがあった」ことがわかります。

戦いがあったことがわかっても、今ウイルスが身体にいることはわかりません。
抗体検査は医学研究には重要ですが、新型コロナウイルスがいるかどうか決めることはできない検査です。
そのため、新型コロナウイルスの診断には使われない検査です。

 

4. 結論 (ここだけ読んでもOK)

PCR検査、抗原検査が陽性なら新型コロナウイルスに感染しています。保健所や医療機関に電話しましょう。
新型コロナウイルスの診断のために、抗体検査を受ける必要はありません。
PCR検査でも抗原検査でも「新型コロナウイルスがいない」と言い切れる検査はありません。引き続き予防と3密対策、黙食を続けていきましょう。

 

噛み砕いて説明した分、科学的な部分に語弊があるかもしれません。
個人的には、医療職でなければここまで理解していただければ十分だと思っています。
知ることが不安に対するワクチンとなりますように!