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山形県で総合診療医を目指しています。日々の振り返りをご笑覧ください。

患者に声をかけるまでの時間

あけましておめでとうございます。
今年も仕事が無事始まりました。比較的雪が少ないはずですが、通勤の渋滞は相変わらずです。

さて、先日教科書を読んでいた時にふと気になるコラムがありました。
「患者の話に30秒耳を傾けよう」
患者さんの話の中にその人の困っていることや受診目的が隠れているので、まずじっくり話を聞くところから始めよう、というような内容でした。
内容自体は素晴らしいと思います。
気になったのは、秒数です。なぜ30秒なのでしょう?

コラムでは「皆様ご存知の通り、医師が話を遮るまでの時間は長くて20秒程度です」と書かれていました。
ご存知なくらい有名なことなんでしょうか?
ざっとググってみましたが、確かに20-30秒という言葉は散見されます。
しかし、根拠となりそうな文献までは辿り着くことができませんでした。
うーむ気になる。

そんなことを思いながら、別な教科書を読んでいた時です。
出会いました。根拠の文献です!

その教科書は、「マクウィニー家庭医療学上巻」です。プライマリケアの王道本でございます。
この本の医師-患者のコミュニケーションという項を引用します。

”医師は一般的によい聞き手ではありません。ある研究では、患者が自分の物語を話し始めてから医師が遮るまでの平均時間は18秒でした(Bechman, frankel, 1984)。少し新しい研究(Marvel. Epstein, Flowers, bechman, 1999)によると最初の遮りは23.1秒後でした”

これでした。
自分が生まれる前からすでにこのような研究が進んでいたんですね。
患者さんの話を自分は何秒かけて聞いてるんでしょうか。そのうち測ってみたくなりました。
論文についても詳しく読んでみようと思います。

参考文献