YAMAGATAxGP

山形県で総合診療医を目指しています。日々の振り返りをご笑覧ください。

論文:禁煙指導におけるコーチングの意味

今日はこちら。

禁煙指導にコーチングを足してみると禁煙成功率があがるのか、という観察研究です。
カナダにはthe ottawa model fir smorking cessation(OMSC)という禁煙へのアプローチがあります。
プライマリケア医にコーチングのセッションを受けてもらい、OMSCにコーチングを足すと禁煙の成功率があがるんじゃないか、という狙いですね。
コーチングはビジネスだけではなく、生活指導でも有効なんじゃないかというのは実体験でも経験されているかと思います。

結論から触れますと。
コーチングは禁煙率を上げる、という結果には残念ながらなりませんでした。
discussionでは、観察期間が短かったこと・コーチングの頻度や時間について更に検討する必要があること・患者のニコチン依存性が高かったことが影響していたのではないかと考察しています。
個人的に気になったのは、コーチングの技術が一定だったのか?というとこです。
評価しにくい所ですが、質の担保されたコーチングが1.5時間の研修だけで学べるのか。難しいですね…。

有意差がついたのは、「コーチングを学んだ先生は5Aアプローチのうち3つを提供する確率が大幅に上がった」だそうです。
コーチングを学ぶと患者に提供したくなる、話していると自然と5Aアプローチが提供できている、こんな感じでしょうか。
患者に禁煙の情報提供をし続けるだけでも効果あり、と言われています。そういう意味では1.5時間の研修で外来での裾野が広がるのはコストパフォーマンスがいいのかもしれないですね。

日本はまだまだ喫煙率が高い国です。そして、日本をあげた禁煙アプローチというのもはっきり存在していません。
自分が話さなければ目の前の人が禁煙する機会を失ってしまうかもしれない。
そんな気合で外来に臨んでいきたいですね。

おまけ)
5Aアプローチ
Ask:尋ねる 
 診察のたびにすべての喫煙者を把握する
Advice 助言する 
 すべての喫煙者に禁煙を、はっきりと・強く・個別的に促す
Assess 評価する 
 禁煙への関心度を評価する
Assist 支援する 
 関心度に合わせて、患者の禁煙を支援する
Arrange 手配する 
 次回のフォローを約束する

参考サイト: