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山形県で総合診療医を目指しています。日々の振り返りをご笑覧ください。

職場が変わって見えたこと

今月に入って県内の別な病院に短期研修を始めております。
同じ緩和ケア病棟ですが、前の病院から北に30分くらいの場所に通っております。
冬将軍が昨今をにぎわせておりますが、車で30分の距離で雪の量がだいぶ変わるのは流石トウホクです。

前病院と今病院で大きく違うのは、【自分たちで訪問診療・往診をしている】ことです。
緩和ケア病棟・緩和ケア外来については一緒ですが、週2回訪問診療と要請があった場合24時間往診する体制を取っております。
この訪問診療の有無がどれだけ影響するか、いくつか気づいたことを書こうと思います。

・出入りが激しい
 自分達で訪問診療を行っているため、退院支援もワンステップ減りました。
 以前なら「在宅を目指す→受けてくれる在宅医を探す→サービスを整える→帰る」だったのが、「在宅を目指す→サービスを整える→帰る」になったわけです。これだけで退院支援の速度が違います。
 どんどん退院する分、どんどん入院します。
 色んな病院から引き受けているだけではなく、在宅で具合が悪くなった方が再入院したり家族が介護疲れになってきたのでレスパイト入院したりも含んでいます。
 忙しくはなりましたが、自宅への退院に立ち会えるとその笑顔に癒されますね。

・当番が激しい
 在宅では様々なことが起きるということを身をもって実感しました。
 痛みで悶えていたので午前中に見に行き、鎮痛薬を使用したらその2時間後にお看取りの診察に伺い、この間に緊急入院が入ったり入院中の患者さんが落ち着かなくなったり…。
 訪問看護師さんやご家族が一生懸命在宅で看てくれているのを知った以上、困っているなら駆け付けないわけにいきません。
 とはいえ、先週の土日で忙しさを思い知りました。休めるときには休まないといけないと切実に感じております。

・やりがい
 この2週間の間でも、自宅で看取らせて頂くことがありました。
 自宅はその人の歴史であふれています。静かに旅立った本人のことをご家族からお聞きすると、元気だった姿がありありと浮かんでくるようです。
 在宅の現場を知ると、やはり病院は駆け込み寺なんだなと強く思います。一時的に身を寄せる場であったとしても、終の棲家ではない。
 お金の問題とか仕事の問題、家庭の問題などハードルは様々ありますが、それでも在宅で旅立てるというのはその方の自分史を締めくくるのにふさわしい場所なのではないかと感じました。
 病院と在宅の両方をこなしていくのは大変ですが、両方のいいとこどりを患者さんに届けられるこの勤務体系にやりがいを感じています。

3か月という短い研修期間はたぶんあっという間に終わってしまうのだろうな、というくらい濃密な時間を過ごしています。
困っている方が自宅で安心して過ごせるように、最期の日々を支えられるように今は頑張っていくつもりです。