11/4、プレゼンターとして参加してきました。お声がけ頂いたのが6月でしたので余裕こいてたらあっっっと言う間に秋になりまして…。時の流れは早いですね。
今回提示したケースは、肺炎・心不全・癌末期と多彩な鑑別疾患から何が起こったかを考える内容でした。「レアなケースを持ってくるのではなく、あえてcommon diseaseの中で如何に学びを作るか!」という点で作り始めたのですが、「何を学びにするか」がなかなか難産でした。
症例を経験したのが5月で、その頃どうやったらもっとうまく対応できたのか悩んでおりました。最初は知識不足が問題かと思っていましたが、ちょうど某総合診療ブログでアンカリングanchoringについて説明されていたのを発見。これが起きてたんじゃないか!と気付き、色々と調べてみることにしたわけです。
「認知バイアス」とは「認知のゆがみ・不正確な判断・非論理的な解釈につながる判断を下す際に生じる無意識的な偏り」と定義されます。参考にさせて頂いた教科書(ABCof臨床推論)には23個の認知バイアスが紹介されており、読めば読むほど「あるある!」というものばかりでした。
(最初は原著論文に挑戦したのですが…英語の難解さに一度諦めていました。ABCof臨床推論ではその論文がばっちり訳されており、本当に助かりました)
今回紹介した認知バイアスは…
アンカリング
意思決定をする際に、最初の情報源(錨)にこだわりすぎてしまう傾向のこと。
代表性 パターン認識の結果、非典型的病像を呈した時に見逃してしまうこと。
利用可能性バイアス 最近よく経験した症例や勉強した疾患が, 鑑別に挙がりやすい状態。
確証バイアス ある仮説に合致する情報を探してしまい、合致しない情報についてはそれが明らかに存在する場合においてすら棄却してしまう傾向のこと。
…の4つです。ただ知識として知ってもらうだけではなく、是非この認知バイアスにハマってほしい!(落とし穴的な意味で)そんな願いを込めて、プレゼンは思考回路を辿ってもらうような構成としました。思いが通じたかどうかはわかりませんが、各グループ盛り上がって話している様子をみると仕掛けは上々だったと思います。疾患の珍しさ・複雑性だけが学びではないこと、どんなケースからも勉強させて頂けていることが伝わったかな。
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まー、熱量が高い! 非常に熱いコスモをぶつけてもらいました!テーマは「心尖拍動」、これだけで1時間の内容ができるなんて…。身体診察は重要であることは常々思っていましたが、精確に所見を取るにはどうすればいいか・その所見の意味はなんなのかまで突き詰めるとここまで深いテーマにできるなんて衝撃です。身体診察の教科書をもう1回開き直してしまいました。平島先生のコスモに負けないくらい頑張っていきたいですね。
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自分のプレゼン作成と平島先生のコスモ、2つのいい意味で修行できたカンファレンスでした。今月はあと3回プレゼンの機会があるのでこの刺激を元に挑戦していきたいと思います!
参考文献:ABC of 臨床推論 ~診断エラーを回避する~(羊土社)