YAMAGATAxGP

山形県で総合診療医を目指しています。日々の振り返りをご笑覧ください。

胃薬ひとつが大問題

今日はPCersYamagataの定例会でした。
研修医のK先生が担当で、「高齢者の貧血にPPIが関連しているか?」というテーマで話してくれました。

91歳女性、Hb4.9で精査目的に入院。色々と調べた結果、大きな原因がなく鉄剤を導入して徐々に回復した、という内容でした。
元々PPIを内服していたようで、これが原因ではないか…と考えたそうです。

ポリファーマシーではよく話題にあがるのですが、「この胃薬はいつまで併用するのか」問題ですね。

参考文献がちょっと古いですが、PPIの長期内服による合併症としては、Clostridium difficile infection・骨密度低下・骨折リスクがよく挙げられます。肝臓の薬物代謝酵素に作用して薬物濃度に影響してみたり、MgやFeの酸化に影響して吸収を抑制するなどなど……。

日本人は胃薬好きなので色んな外来で「よかれと思って」なんとなく出していることも多いです。一方でその合併症や薬剤相互作用で、実は副作用を起こして医療費の底上げに役立っている可能性も否定できません。

今回の症例で本当に関連しているかどうかはわかりませんが、胃薬ひとつでも影響があることを考えて内服を調整していく必要を改めて感じました。


来月は自分が担当です。何話そうかなぁ。


参考文献

・日本老年医学会 高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015

・STOPP/START criteria 2015

・Beers criteria 2015