YAMAGATAxGP

山形県で総合診療医を目指しています。日々の振り返りをご笑覧ください。

除菌のシート製剤について

皆さん、除菌してますか?

最近は健康診断でもペプシノゲン測定で引っ掛けやすくなったヘリコバクター・ピロリ
やっつけることで胃がん胃潰瘍・胃炎に加え、MALTリンパ腫やITPまで治療効果があると言われる、ここ10年くらい日本人の目の敵にされているやつです。
当診療所も健康診断の結果をもってたくさんの方が受診され、除菌のお話をするようになりました。

通常のピロリ菌除菌療法の内容は、プロトンポンプインヒビター(PPI)+アモキシシリン(AMPC)+クラリスロマイシン(CAM)を朝夕で1週間内服となっています。
商品名でいうと、
 PPI:ランソプラゾール30mg2T or ラベプラゾール10mg2T or ボノプラザン20mg2T
(ボノプラザンはPCABですが、PPIの上位互換だとお思いください)
 AMPC:サワシリン/パセトシン/アモリン 250mg6Cap
 CAM:クラリス200mg2~4T

数年前に「一気に処方できるおクスリが出ましたよ!」とニュースになったのはご存知でしょうか。
最初はこの3種類が合剤にでもなっとるんかと期待したんですよね。
そしたら結果がこれ。

いやーこれで新製品ってのはどうなんすか?と当時思ったものです。
その頃の気持そのまま、自分で処方する時には一剤ずつ手打ちで入力しています。
アドヒアランスが上がって除菌成功率が上がった、とかなら使うんですが……。特にそんな根拠もでておらず、しかも薬価が高い!

例えばですが、
ランサップ200(約602円)=ランソプラゾール30mg2T+アモキシシリン250mg6T+クラリスロマイシン200mg2T
同じ内容をジェネリックで出すと、
ランソプラゾール30mg2T+アモキシシリン250mg6T+クラリスロマイシン200mg2T
=55円x2+8円x6+43円x2
=約244円
これを1週間飲むので602x7-244x7=2506円も!

処方する側のひと手間でこれだけ医療費が削減できるなら、手打ちにするメリットあると思いませんか?
脳みそ使わずに反射で処方してると、その分税金が消費されちゃいますよ。
製薬会社の方には、是非3種類の成分が1錠になった薬剤を開発して頂きたいと思います。

参考文献)H.pylori感染の診断と治療のガイドライン2009