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山形県で総合診療医を目指しています。日々の振り返りをご笑覧ください。

病体験を医者がする、ということ

ひっさびさに咳で困っています。
4月下旬に風邪をもらったらしく、綺麗な上気道症状・咽頭痛が出てきました。
家族が風邪をひいていたのでもらったのだろうと思い、自宅療養をしていたGWでした。

これまでの自分は風邪をひいてもあまり引きずらずに治っていたんですが、今回は感冒後咳嗽が長引いています。1週間ほど空咳が止まらず、何かを話していると咳が出てきて遮られるという日々を過ごしているような状態です。

風邪をひいた後でも2−3週間くらい咳が続くことはある、というのを知識ベースでは知っていましたが……いざ病体験をしてみると、やっぱりしんどいなぁと思います。

 

咳って体内にものすごく圧力をかけるんですよね。
これだけでぎっくり腰を起こしておかしくないレベル。
そんな咳をゲッホゲホしているもんだから、身体中になんかダメージが蓄積されている感じがします。ポケ○ンでいう「どく」をもらった状態。
そして、それを我慢しようとするとますます喉やら胸やらが苦しくなるし、我慢した分咳もどデカくなるような感じもします。こりゃあ困った。

 

加湿したりマスクしたり、これまで患者さんに説明してきたことを実践しているわけですが……、咳の方が一枚上手らしく収まる気配がなかなか出てきません。
気にしている分収まらないのかもしれませんが。

 

そんな中で思ったのが、やっぱりユーザー体験をしてみないとサービス提供者としてきちんとした仕事はできないよなぁということです。
受診に行くまでのハードルとか「何か嫌な病気だったらどうしようかな」という不安とか、こういったプロセスを踏まえて診察室のドアを叩いていることを医療者はどこまで配慮できているでしょうか。
自分は基本的にヘルニア以外は元気人間なので、30歳過ぎるまではトンとユーザー体験をしたことがありませんでした。腰を痛めて受診した時も医者であることを知った上で対応されたので一般的なユーザー体験ではなかったとも感じています。
だからこそ、こうやって咳で悩んでいる時に初めて「世の中の一般常識」を身をもって感じているような気持ちになっているわけです。

 

みんなが健康を崩してユーザー体験しようぜ!というつもりはありませんが、医療サービス提供者としては相手の気持ちを慮ることを忘れてはいけないよなぁと咳をしながら考えていたのでした。
早く咳が収まることを願います。