YAMAGATAxGP

山形県で総合診療医を目指しています。日々の振り返りをご笑覧ください。

DVTの診断

7月のことでした。
下肢がむくんで痛いという70代女性。
確かに両下肢の硬性浮腫・発赤あり。熱感はなかったですが疼痛が若干ありました。
座り仕事でずっと足をおろしているとのこと。
蜂窩織炎は採血で否定的でした。
RICEで経過観察を指示して、2ヶ月経過。

実はその間に他院へ相談していたことが発覚。
整形外科受診の際に相談したところ、下肢静脈エコーを行ってくれたようです。結果、両側下肢の静脈血栓症と診断。抗凝固療法が開始となっていました。

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非常に悔しい思いをしました。
今回のピットフォールとしては、
・下肢浮腫+炎症所見の鑑別からDVTがすっぽり抜けていた
・まさか両側に発生するとは思わなかった
・特に血栓傾向などを疑うエピソードがなかった
を考えました。

当院の検査ではD-dimerが出せないので、もし疑った際には下肢静脈エコーをとりあえず当ててみることになりそうです。

また、身体所見で自分の中の感度・特異度を上げることもできるでしょう。

 片側性の肢腫脹、発赤、
 calf tenderness(下腿背側の痛み)、
 Homans徴候(DVTに特異的・足首を背屈させて下腿三頭筋に痛みが出れば陽性)
 Lowenberg徴候(マンシェットによる加圧で腓腹部に疼痛が著明、健側より20-30mmHgで疼痛が出現する)
 Luke徴候(立位で下肢疼痛が増悪する)

とはいえ、身体所見自体の感度・特異度が見つからなかったのであくまで参考まで。
鑑別に忘れないこと・試しにエコーを当ててみることをtake home messageにしたいと思います。