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山形県で総合診療医を目指しています。日々の振り返りをご笑覧ください。

振り返り:本荘カンファ

先日、人生初の単独遠征に行って参りました。
場所は本荘第一病院。秋田の日本海側・南部にある病院です。
とある勉強会で研修担当の先生とご一緒する機会があり、声をかけて頂きました。
自分の中でいくつか大きな気づきがあったので、振り返りとして記載したいと思います。

①アイスブレイクって超難しい
 講演内容は自身の「やっちまった!」から診断エラー・認知バイアスを感じてもらうケースカンファを行ってきました。
 これ自体はある程度成功を収めたと思っています。

 自分が感じた壁としては【アイスブレイクしきれなかった】です。
 カンファに参加する研修医の先生と自分は初対面なので、もちろんアイスブレイクは必要です。
 準備もしていきましたし、ちょっと笑えるネタも混ぜ込みました。
 しかし、そのアイスブレイクは”すでにグループ分けされている”前提で用意したものでした。(落とし穴1)
 カンファが始まってみると参加者は3人だったので、1グループで始めました。
 ここ最近はファシリテーターを設定しなくても話慣れしている場に参加することが多かったので、特にファシリテーターの設定はなし。(落とし穴2)
 そして、本荘第一病院の研修医の皆様は、カンファレンス形式は初めてで話慣れていなかったようでした。(落とし穴3)

 結果、何が起きたかというと。

 「じゃあ〇〇というテーマでそれぞれ話してみますか!どうぞ!」
 「「「…………」」」

 見事にお見合い状態が起きてしまいました。

 アイスブレイクはその場のメンバーが打ち解けて話しやすい空気を作るために設定します。
 アイスメイキングしたら真逆ですよねぇ。

 その場のメンバー・参加人数を見て、適切なアイスブレイクを設定する。そのためには引き出しを増やす必要とその場での対応力が求められます。どちらも自分に不足しているものでした。
 ちなみにその後はカンファレンスを進めながら緊張が解けていったようでした。

②事実質問からのコーチン
 懇親会の席のこと。
 隣に座っている研修医の先生が「お金のためじゃないと医療を頑張れない」と話していました。
 それを別に否定するつもりはありません。ただ、興味がわいたのでもう少し詳しく聞いてみました。
 いつからそういう考えになったのか、そもそも医者になりたいと思ったのはいつなのか、志望する診療科はいつ決めたのかetc。
 When攻めです。
 その結果、こんなことがわかりました。
『高校の頃は廊下に張り出されるテスト結果の順序に自己肯定感を感じていた。結果がいいので医学部を勧められ、そのまま入った。大学の試験も点をいかに取るかなので勉強は楽しかった。その中で、志望科は臓器の構造から面白くて全コマが楽しかった。医者になってからは点数が出ず、何で評価したらいいかわからない。患者さんに感謝してもらえるようになりたいけど、今のところその感謝を実感できていない。なので、数値で出るお金が自己評価になる』
 彼の歴史をひも解くことで、彼自身がなぜお金にこだわるのか気づいてくれたようでした。

 事実質問は自身の気づきを促すために強いツールです。
 これを短時間で効率よくできるようになると、外来診療も変わると感じているのですが…それにはまだ時間が必要かも。

③運転って大変
 まぁ、雪道は運転するものじゃない。
 自分のアパートから本荘まで3時間半かかりました。
 この移動の間に、
  ・除雪車による渋滞
  ・雪に突っ込んで動けなくなった車による渋滞
  ・まっすぐ進めなくなるホワイトアウト数回
 雪中ドライブを非常に楽しめる道のりでした。
 帰り道、浜沿いから山中に移動する過程で雪の量がどんどん変わっていくのも面白かったです。
 でも、もし次呼んで頂ける機会がある時には、是非冬以外でお願いします!

雪はおいといて、非常に刺激的な経験をさせて頂きました。
自分ならこれが話せる、これなら全国どこに呼ばれても恥ずかしくない内容がある、と言える日が来るまで修行は続きます!
その第一歩になった気がする本荘でした。