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山形県で総合診療医を目指しています。日々の振り返りをご笑覧ください。

9月のPCers 〜家族ケア、Klebsiella、人工呼吸器〜

定期的に行っている山形の総合診療勉強会「PCers Yamagata」。
先日、9月の定例会でした。
Y先生担当で豪華3本立て。その一部を紹介します。
ポートフォリオ:家族ケア領域
 腎盂癌を切欠に経口摂取が取れなくなった高齢者を中心に、キーパーソンの長男と医療者(Y先生)の関係性に着目した内容でした。 家族ケアは総合内科と総合診療を分ける上で大事な要素だと個人的には思っています。 総合内科は広く”臓器を”診る診療科、総合診療は広く”個人を”診る診療科。個人を診るためにはその社会的立ち位置が重要となり、全ての人間が属する社会の最小単位が”家族”だからです。また、家族だけをケアするだけではなく、そこに巻き込まれている医療者も含めてケアすべきなのでしょう。(家族は幸せになりました、看護師からは白い目で見られました、じゃ続かないですよね)

 今回のポートフォリオについては「患者・家族・医療者の関係性についてもう少し詳しく記載し、先生の介入で関係性がどう変わっていったか」をポイントとして内容を深めていくと、より家族ケアについて深く書き出せそうでした。
②過粘稠性Klebsiella pneumoniaについて
 病院総合医学会で学んだ症例から国内論文を紹介してもらいました。普通のKlebsiella pneumoniaでは起こさないような多発性肝膿瘍、両側眼内炎、中枢神経系の膿瘍を来しうる細菌とのこと。遺伝子型を調べるのもいいけど、培養で粘性を調べるstring testが紹介されました。
 このstring testの元になった論文をあたってみましたが、残念ながら感度特異度を調べた論文はなさそうです。症例報告になるレベルの感染症なので、肝膿瘍の培養を取った時にコロニーがやけにベタベタしてたら疑ってかかる、くらいの気持ちでいいのかもしれません。
 しかし、自分で遭遇したくないなぁ…。
(参考文献:
 海外の4例報告 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19135282
 Klebsiella pneumoniaの遺伝子型を調べた研究 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19135282

③人工呼吸器について
 FCCSで学んできた内容の紹介。肺の模型を使って人工呼吸器を色々いじってきたことから、自分の失敗症例への振り返りにつながったそうです。
 実はAutoPEEPがかかっていたのではないか。あの時気づいていれば…。
 人工呼吸器は常に触っていないと本当に難しい医療機器です。今の自分では触れる気がしません。実臨床で学ぶ以外にアップデートできる方法を模索したいところです。
また、「病院総合医のこれから」「ホスピタリストを目指すにはどうするか」などの話題に花が咲きました。
毎月新しい学びがあるのは刺激になりますね。参加者が増えていくように少しずつ続けていく予定です。