ここから私見を述べます。
私がまだ研修医の頃、自分の専門は小児科と総合診療のどっちがいいのか迷っていました。
研修先の上司に聞くと、多くの先生は
「総合診療は途中からでもできる。自分のプロフェッショナルを得てからでも遅くないんじゃないか」
…と答えてくれました。
そこで納得できるならそもそも悩んでいません。
子供は確かに診たいと思うけど、じゃあ大人は診れないってのはどうなんだろう? でも、総合診療医=専門性のない何でも屋は胸を張って生きていけるんだろうか…。
総合診療の先生にも聞いてみたことがあります。
泊りがけの勉強会で10人ほどの総合診療の先生に聞いてみました。
「総合診療って何なんスカ!?」
結果、10個の答えが帰ってきました。
ますますわからなくなり、悩む日々…。
〜〜〜
そこから3年経ちました。
自分は奨学金の都合もあり、後期研修(専門医を取るための過程、だいたいの医者は医師3−5年目で研修する)は取ることができず地方の町立病院・二次病院で勤務しました。
医療資源のない病院は、「あなたはうちの診療科じゃない」なんて言えません。
「眼の前の困った人全員を何とかする」、この一点のためにひたすら頑張りました。思い起こすと大変だったけど、充実した日々でした。
その経験を振り返ると、ようやく3年前に聞いた言葉に納得できるようになりました。
どの先生方も「診ないことはしない」「全ての人を対象にする」が共通点でした。
これは技術というより、心のあり方。
3年前は「それをプロというんかい!プロとは技術でしょう!」と納得できませんでした。
今なら言えます。
その心のあり方を実現するために必要な技術と知識はやはりプロの技です。
自分で働いて、3年間総合診療の勉強を我流で進めて、やっとその山が高いことに気がつきました。
途中から目指して登りきれるほど甘い山ではないことにも。
「総合診療とは何か」。
自分の答えは、「全ての人を幸せにする」「そのための知識と技術を高める分野」です。
どんな知識が必要か、どんな技術が必要なのか…それはまた少しずつ言語化していきたいと思います。
そんな医者を目指して、1つずつ頑張っていきます。