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山形県で総合診療医を目指しています。日々の振り返りをご笑覧ください。

読書録:新復興論

久々にデカい本を読みきりました。小松 理虔さんの新復興論。
今年のプライマリケア連合学会 東北地方会にゲストとして参加され、その話にガツーンとやられた勢いで購入しました。

 

浜通りの中でもローカルないわき地域にクローズして語られる体験と、いわきの歴史から紐解く「バックヤード」の重み、震災とはなんなのか・復興とはなんなのか。
現地にいながら模索し続けた彼の言葉にグイグイと惹きつけられてしまいました。

「その地域を知る」ということがどれだけ深みのあるアクションなのか、自分のこれまでの行動がどれだけ浅かったのか知ることができました。
地域の人に教えてもらったことや少しだけ出歩いた知見から知ったつもりになっていた自分が恥ずかしい…。その地域に横たわる歴史から地域の特性を紐解き、それが現代にどうアクセスしているのか。そんな背景を背負いながら僕らは無意識に生きているということを教えてもらいました。

 

この本は東日本大震災、それに伴う原発事故や復興が大きなテーマとして捉えられています。

自分はあの日、日本にはいませんでした。たまたま交換留学で海外にいて、観光中に立ち寄った店で「日本は大丈夫なのか?」と心配されて初めてわかったようなレベル。
帰ってきてから寮の部屋で物が少し散らばっていた、これが自分の「被災」です。

だから、東日本大震災や復興の話を聞くと同じ東北に住む人間なのに、どこか遠い出来事のように感じていました。また、それがどこか恥ずかしかったり後ろめたい気分を暫く感じていたのも告白します。

そんな自分でも、震災とは何なのか・復興とは何なのかを考えることはやっていいことだと思うし、考えるきっかけを作ってくれたこの本には凄く感謝しています。

 

知らないことに出会うということは、この年齢になってくるとなかなか難しくなってきます。読書はそれを叶えてくれる。
久々にワクワクしながら読めた一冊に大満足でした。