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山形県で総合診療医を目指しています。日々の振り返りをご笑覧ください。

読者会3「その島の人たちは、人の話を聞かない/森川すいめい」

最近オンライン読書会にハマってます。
過去2回は大学生とやってましたが、今回は同世代の医者仲間とやってみました。

森川すいめい先生は精神科医、フィールドの中で支援活動に取り組まれている方です。
そんな彼が日本で自殺率の少ない地域を探訪し、見聞きして気づいた「地域の関わり」について語っています。

この本をなんで読んだのか忘れてしまったのですが、読んだ時に「違和感がない」という感想だったのを覚えています。普段ムラで流れている空気を言語化された感覚。
それは自分がムラ社会に馴染んできたことが影響してるのかな、と思っていました。では、ムラではない場所で医者をやってる仲間たちはどう感じるのかな?と思い、今回ネタ本として出してみた次第です。

話は多岐に及んだのですが、個人的に印象に残ったポイントを書いておきます。
誰かに話しかけるハードル、と言う流れから「自分ならどこまでの人に挨拶するか?」という話題になりました。
例えば自分は、村の中ならすれ違った人に会釈・挨拶はします。小学生も道路の向こうから「こんにちわー」と声もかけられます。
けど、村の外ではやらない。スーパーですれ違った客には挨拶しないし、歩いていてすれ違ってもスルーです。
この境界線はどこにあるんでしょうか?

・好かれたいかどうか
・同じコミュニティとみなしているかどうか
などなどありましたが、面白かったのは「周辺の空気がそうしているから」。
ムラに流れる空気を読んで挨拶しているとは面白い!
そうなると、本の中で出てくる2つの集落には「困っている人に声をかける空気」があり、その同調圧力が結果として自殺率を下げているという考えも浮かんできます。

新型コロナウイルスの影響で人とのつながりが再定義されるような時代になってきています。物理的な距離があっても心の距離は保とう、なんてキャッチフレーズもありますし。
そんな「空気」の中で、本当にヒトとヒトは繋がれるのでしょうか?

本編の内容とは少し離れましたが、自分の見えていない切り口が生まれるのは知的好奇心が刺激されます。
もちろん答えは出ませんが、見えていないものが見えるようになるのはいつだってワクワクします。
1人で読んだときには出てこない切り口・着眼点が生まれるのが読書会の面白さです。
オンライン読書会、よければ試してみてくださいね。